京都新聞 口丹随想(16)
小林和子(掲載日 1999.5.9.)
見出し:フレッシュマン
大学によっては、この時期に、大学生活がうまく滑り出すように、新入生の親睦をはかる新入生歓迎ゼミが企画されます。私の大学では、フレッシュマンキャンプという名称で、京北町にある京都府立ゼミナールハウスへ一泊二日の日程で出かけます。私もクラスアドバイザーとしてついていったのですが、若い人(実際の年齢ではなく精神年齢のことです)のエネルギーに圧倒されました。日本各地から来た人がたまたま一つの大学で出会ったわけですから、友人をつくろうと積極的に関わっていく人が大勢いて、たいへんにぎやかでした。
そばにいる大人としては、人生の先輩として何か話さなければならないような気になって、私が生きていくために決めている自分なりのルールについて話したのです(実際に実行できているかどうかは別です)。一つは、何かをやろうと決心したときの気持ち、つまり初心を大切にすることです。二つめは、自分の身は自分で守ることです。自分自身に生きる力がないと他人を助けることは無理ですから。三つめは、人生の主役は自分自身であるということです。男女、年齢、国や民族に関係なく、魅力のある人は魅力があります。だから、自分だけのチャーム(魅力)を育てることが大切だと思っています。二日目のクラス懇談会で「最初だからまじめな話をします」と言って話したのですが、新入生たちは徹夜で友達と話していたようで、睡眠不足のためほとんど記憶に残っていないかもしれません。
ただ、私にとっては意義深いものがありました。実は、最近自分の若かった頃のことを思い出していささかほろ苦い思いをしたり、自分の人生の残りを数えるような心境になることが多かったのです。でも、人生の舞台の一幕目でスポットライトをあびている人達を見ていると、過ぎたことは元には戻りませんが、終わったと思っていたことを追体験させてもらっているようです。
また、先輩の学生たちが大学生活や就職のことなど教職員とは別の視点で話したのですが、私には新しい発見でした。講義の時の学生とは別の一面を見せていて、楽しませてくれました。講義では、たまたまある専門分野の能力について見ているだけで、その学生の人間性や全体像を見ているわけではないという当然のことをあらためて感じさせられたのでした。
新人というのは、何もわからないから不安ですし、まだ未熟ですから結果がよくないことも多いです。でも、一生懸命だということはよくわかります。久々に初心を思い出さされた二日間でした。
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