シーバスから見た 学会会場
◎「ここまで判った灸の科学」-基礎から臨床へのフイードバック-
これはパネルデイスカッション形式で、4名のパネラーがそれぞれの分野から「ここまで灸のことは判ったゾ」というのを紹介してくれました。まず長野先生から文献考証学的観点から古来の灸法について解りやすく紹介され、続いて相澤先生/戸田先生/仲西先生の順にそれぞれ艾の電子顕微鏡写真を含む形態学的研究、抽出物質の分析など生化学的研究、艾の燃焼時間や灸刺激によってひき起こされる生理学的研究など多岐にわたる研究内容が紹介されました。特に艾の燃焼温度を調べた実験では、皮膚では最高60度以上まで上がり皮下の温度はそれほどでもないにもかかわらず、連続して燃やすと皮下の温度上昇は累積されていくというのは大変興味深いと思いました。この累積温度上昇は5荘以上になるとプラトーとなり、それ以上は上昇せず灸刺激を与え続けている時間中同じ温度を持続するというのは、生体の何らかのフイードバック機構が働いている可能性が考えられるのではないかと思いました。 (オカダ 記)
◎「鍼灸-基礎と臨床との対話」
これは平成8年の学会から毎年行われているシンポジウムで、基礎で明かとなった知見を臨床にどう生かしていくか、また臨床で経験する鍼灸の治療効果のメカニズムを基礎研究でどうやって解明したらいいかなど、それぞれがどこを補い統合させていくかが討論されました。臨床的立場として矢野先生と木下先生、基礎的立場として野口先生、菅原先生がそれぞれ鍼灸の適応されている疾患、基礎研究の現状、臨床的価値などいくつかのキーワードを軸に討論が進められました。矢野先生から胎児矯正についてRCTで行われた研究と、case seriesで行われた研究の比較などもう少し時間をかけてじっくりと聞きたいなと思わせるお話や、野口先生の刺激部位・組織の違いによる循環系に対する効果の違いなど興味深いお話が次々と繰り広げられました。また、解釈の違いにより対話が成り立ちにくい点から、一定の共通認識を得られる言語の必要性も指摘されました。「動物を使った基礎研究は臨床では役にたたないという臨床家がいるが、これは間違っている」という司会の丹沢会長のコメントは、まさにこの対話を成立させるバックボーンとなるべきものと思いました。 (オカダ 記)
◎「電子カルテ」特別イベント
電子カルテ研究部は昨年岐阜大会からワークショップとして活動を開始、今年は大型プロジェクターを使って実際の電子カルテの操作をデモストレーションしたり、超初心者がインターネットに接続するまでというビデオの上映があったりと非常に解りやすい形で電子カルテについての啓発活動が行われました。青木先生から電子カルテのメリット・デメリット、何のための電子カルテかなど総括的なイントロダクションがありましたが、その中でも医療情報の共有化のためにはやはり誰(鍼灸師以外)が読んでも解るカルテの記載をするための共通合意の必要性が指摘されました。続いて、WINEというMacOS上で動く電子カルテの開発者のひとりである大橋先生から実際臨床でご自分がどのように使っているのかがデモストレーションされました。Macユーザーには非常に親しみやすい、感覚的な操作性が充分発揮されており、またカルテに記載したデータをもとに紹介状をそのままプリントアウトできるなど、紙のカルテでは不可能な機能も盛り込まれ非常に使いやすそうでした。Window上で動かすまあむという富士通が開発した電子カルテは、視覚障害者に十分配慮されたカーソルで移動や音声がついており視覚障害の鍼灸師からは大きな期待をよせられているようです。
ところで、大橋先生のいくつかある肩書きのうち「全日本医歯薬学生馬術連盟理事」というのがありましたが、川喜田先生はご存じ? (オカダ 記)