ユニット
脳科学による鍼灸の科学的解明を目指す
Last updated by Masahiro Umeda on Aug 03, 2011
[ 教育 ]
脳神経外科ユニットは、教育面では中枢神経一般およびリハビリテーション医学の一部を担当しています。脳と脊髄の中枢神経系および末梢神経の疾患で ある神経疾患について講義しています。講義の中では、神経解剖、神経生理、神経生化学などの基礎知識をもとに、神経内科および脳神経外科が対象とする各種 疾患の診断法や検査法、治療法を学習します。神経疾患を学ぶ目的は、患者さんが訴える症状をそのままの症状として聞くのではなく、神経系の解剖学的、生理 機能の理解の上に立って、それらの症状を理解できるようにします。また講義の目的としては脳神経外科的治療に対する理解だけではなく、疾患によって生じる 神経脱落症状を少しでも抑える内科的治療、外科的治療の必要性とその限界、さらには神経脱落症状に伴って必要となる機能回復訓練(リハビリテーション)の 役割を理解できるようになることにあります。また保健医療学部では画像診断学として、MRI 画像、超音波画像、レントゲン画像等の最新の画像情報等について解説を行います。特に柔道整復施術において参考となる内容については、それぞれのデータを もとに具体的に事例説明を行い、その意義と方法等について教授します。
[ 研究 ]
研究面では、医療情報学ユニットと連携し、磁気共鳴医学および画像情報学の手法を中心に、神経生理学および脳神経科学の分野で、ヒトおよび実験動物 を対象に研究を行っています。近年の医療画像技術の発展は、疾病の早期発見など臨床面に多大なる貢献をするとともに、脳機能や神経生理学の研究にも革命的 な変化をもたらしました。医療情報学ユニットでは、国内有数の設備を誇る磁気共鳴画像装置を使用して、1)鍼灸刺激をはじめとする体性感覚刺激に伴う脳機 能の解析、2)筋の運動に伴う代謝の解析や収縮や変形に伴う筋の生理学的な変化を捉える研究、3)脳神経疾患の病態評価および治療効果の評価、および4) 神経生理学および脳神経科学に有用な新技術の開発など、ヒトおよび動物モデルを対象に研究を進めています。図1は右手合谷に電気刺激を行ったときのヒトの脳機能画像;fMRI., 図2は右手合谷に温熱刺激を行ったときのfMRIを示す。神経活動に伴って生じる血液の酸素代謝の変化と血流の変化を反映しています。図3は通電刺激を行ったときのラットの神経賦活画像;AIM MRI。神経活動に伴って生じるカルシウムの動きに合わせて、神経の内部に蓄積した造影剤の変化を捉えています。
図1.脳機能MRI(fMRI)による研究(ヒト)。
右手合谷(LI4)における電気鍼刺激によって観察された脳活動。両側の2次感覚野(縁上回)に加えて、痛みの情報処理領域と一致する島皮質、帯状回、補足運動野に脳活動が観察される。 |
図2 温熱刺激のfMRI。合谷にお湯を通したブロックをあて、温度熱刺激を与えたときの生じる脳活動。島皮質など痛みを感じる領域の活動が観察される。 |
図3.痛みモデルラットにおける脳活動の研究 |
塩化マンガンを静脈から投与して脳に蓄積されるマンガンによる緩和時間の短縮効果から活動部位を確認する方法で、痛み誘発による脳の活動を画像化した。白く描出された部分が活動した領域。 |