今回の日本慢性疼痛学会での呈茶席が私にとっては、茶道部活動の最後の仕事となった。これまでに大きな学会での呈茶席は何度か経験させていただいたが、毎回、学生茶道では出会えないお客さまと接することができ、貴重な機会だと実感する。
会場には茶道部のOBの顔もあったし、たくさんの明治鍼灸大学の卒業生たちがいらした。また、今回は市民講座に参加した一般の方と医師や看護師などの医療従事者、業者の方々も忙しい合間をぬって茶席を訪れて下さった。茶について、詳しい方も初めてと言う方もいらしたが、皆さんが口々に「茶によって、すっきりできた」と言われた。
私が今回の茶席で特に強く感じたのは、茶席のもたらす空間で、荷物をもたないお客さまと向き合ってお話しすることは、現代の生活ではめったにない場なのではないかということだ。おそらく、大半の学会参加者は普段は忙しくて、書類を確認しながらお茶を飲んだりすることが多いのではないか。
また、現代っ子の学生達は一緒に座っていても、互いに携帯電話を見て、それぞれの世界に居たりする。現代ではたった一杯の茶を、顔を合わせて飲むことすら贅沢な時間なのではないだろうか。茶席に来た方が「すっきりできた」というのは、空間がもたらした効果も大きいのではないかと思う。
今回は茶道部の部員があまり参加できず、多くの友人の手を借りた。しかし少ない人数でも滞りなく茶席を勤めることができたのは、会場の茶室の造りによるところも大きい。入り口と水屋が近いので、入ってくるお客さまの人数をすぐに把握できた。ハードは大事な要素だと感じた。このような貴重な体験ができた呈茶席を設けて下さった開催者に感謝いたします。
鍼灸学部4回生:奥野 和歌子 |

前列左から;奥野、馬場、寺澤、井出
後列左から;山下、廣瀬、梶 |