茶道部活動報告

 


平成18年(2006)の年間行事(部長:寺澤)

 2月 ; 夜咄
 4月 ; 観桜茶会(新入生歓迎)
 6月 ; 七夕茶会
 9月 ; 夏季合宿
10月 ; たには祭で模擬店 ; 本学中庭
11月上旬 ; 強化合宿、於 : 亀岡大本内施設
11月下旬 ; 学外茶会

平成19年(2007)

 2月 ; 第36回日本慢性疼痛学会で呈茶席



夜咄について

 冬の夜長を楽しむお茶が夜咄(よばなし)とよばれる。行燈や燭台の蝋燭の灯影のもとで、お茶をいただきながらくつろいだ「咄」をする茶事。電灯の明るさを避け、昔ながらの和ろうそくや灯心のわずかな明かりの中で行われる茶事は、たいへん趣深いものがある。卒業していく茶道部員を招いて蔭凉寺にて茶事を実施。


わずかな灯りのなかで行う茶事




観桜茶会(新入生歓迎会)


入学式当日;平成18年4月10日(月)9:00―15:00、場所:本学中庭


七夕茶会

平成18年6月26(月)本学和室、8:30―18:00の時間に5回、予約制として、1席につき5人の来客に対して茶事を実施。笹につける札には来客と部員により、願いごとを書く。来客者数;学生、教職員約28名。





夏季合宿について


1)日時:平成18年9月30日(土)-10月1日(日)

2)場所:「養心庵」三重県名張市・近鉄電車「赤目口」下車

3)参加者:12名(引率者を含む)

4)引率者:寺澤宗典部長、北出利勝顧問

5)合宿目的:学外茶会に使うため、窯元(勝見孝之氏)の指導を得ながら作陶(香合、水指、茶碗、点心用皿、蓋置き、建水、花入れなど)と作法の集中稽古を実施した。




京都御苑内の「拾翠亭」
(Shu-Sui-Tei)

学外茶会について


1)日時:平成18年11月26日(日)10:00-15:00

2)場所:京都御苑内「拾翠亭」、薄茶席・点心席

3)参加部員:4年―奥野、村井、岡田、3年―嶋本、 2年―鍋島、井出、相馬、梶、1年―馬場、久保田、 外部の手伝い、3人、合計14人。

4)来客者数:61名

5)引率・指導者:寺澤宗典部長


 <茶道部部員の感想文>

 初めての学外茶会は、茶会当日のことよりも、その半端じゃない下準備の段階からの仕事の量とそれと平行していかなければならない亭主としての点前の練習とで大変忙しかったことのほうが印象に残っている。はっきりいって「逃げ出したい」「投げ出したい」という何度もこみ上げてくる衝動をこらえながらも最後まで遣り通せたことがよかった。そういうことで、今回の茶会の成果を挙げるとすれば、茶道のことというよりも、精神的に自分を飛躍させ、自信をつけることができた。そのことに尽きると思う。

鍼灸学部1回生:馬場 寛之



 今回の学外茶会は、残念ながら俄か雨の茶会となってしまいました。去年と比べて、お客様も人数が減ってしまい物悲しい感じがしてしまいました。ただ、その少ないお客様方に対してだけでも、喜んでいただけるだけの前々からの準備が出来ていて良かったと思います。今年は半東を勤めさせていただきましたが、なかなか難しく思ったとおりにはいかなかったことが反省すべき点です。しかし、良い経験が出来ました。

鍼灸学部2回生:鍋島 麻里



 キャプテンとして学外茶会を作っていく事は並大抵ではない努力と根性が必要でした。テーマをみんなで決め、何にもないゼロからのスタートでした。どんなに考えても、内容がまとまらない時や、やらなければならない膨大な仕事、責任・・・それらの重圧で逃げたくなったことがしばしばありました。キャプテンでなかったら、もっと楽だったのにな、と思うこともたくさんありました。しかし、学外茶会を終えて達成感や感動はほかの部員の誰よりも味わえたと思います。そしてなにより自信がつきました。この自信は、将来必ず生きてくると思います。今回のお茶会は、例年に比べてお客さんの人数も少なく残念でしたが、その分一人ひとりのお客さんを丁寧にもてなすことができました。

鍼灸学部2回生:井出 文枝



 今回の茶会は、私は3回生ということで準備や稽古に参加できなかったけれど、1・2回生が一生懸命やっていたようです。例年よりも客の数は少なかったけれど、OBの方とゆっくり過ごせたのが良かったです。

鍼灸学部3回生:嶋本 直美



 拾翠亭(旧九条家茶室)の由緒
 拾翠亭は、今から約200年前の江戸時代の後期に、当時の五摂家の一つである九条家の別邸として建築されました。主に茶会や歌会など、貴族や公家、文化人の社交の場として利用されました。九条家は藤原鎌足を遠祖とする流れを汲み、摂政や関白などの要職に就く人が多く、安土桃山時代には、京都御所の南側に約1万坪の敷地を有する名家でした。
 拾翠亭の「拾翠」とは、緑の草花を拾い集めると言う意味があり、平安時代に貴族の人々が、のどかな日に野原に出て草花を摘んで楽しんだ風習にちなんで名付けられました。また「翠」という文字には、緑の美しい鳥である「カワセミ」の意味もあり、かつて勾玉池(九条池)に数多くの「カワセミ」が飛来したことから名付けられたとも言われています。http://www.kyotogyoen.go.jp/map2_kujyou.html


勾玉池から茶室の「拾翠亭」を望む


 私は学外茶会のメインの目的が、他大学との交流とOBとの引き継がれてきたものをつないでいく場だと思っている。今年はなんとも残念なことに他大学が3校しか来なかったために、客数が非常に少なかった。茶会を催す時期に問題があったようだ。
 私は毎年OBに茶会を通して感謝する機会を得る。直接、水屋を手伝っていただいたときは、OBの直接的な力を目の当たりにしたが、今年はとりわけ茶道部の伝統の重みを感じた。経験も道具もないところから学外茶会を始め、毎年この時期が鍼灸大学の学外茶会として定着した。私たちは先輩たちが大変な思いをして築いてきたレールの上を同じようにふるまうことで茶会を作り上げている。時がたつにつれ、形ばかりをまねるだけで、先輩たちの茶会への思いや客をもてなす思いが、欠如してきているように思う。
 私は作法や道具の名前を覚える以外にもっと大事なことがあると思う。「客をもてなそう」「みんなで成功させよう」という相手を思いやることが土台にあれば、作法を覚えることも道具の名前を覚えることも必然になる。茶会を「やらされている」態度で参加している部員がいることが残念であり、OBに対して申し訳ないと思った。
 私は正直にいうと、自分がどう茶会にかかわるべきだったかわからない。今年は私も点前を担当することになったので、主に1年生と練習したが、結果として彼らだけすら纏めることができなかった。私の反省点も含め、御尽力いただいた寺沢先生もしっくりこない思いで茶会が終わったことが残念でならない。

鍼灸学部4回生:奥野 和歌子



 今回の秋季茶会はにわか雨でしたが、去年とはまた違ったものになりました。お客様の数は少なかったですが、そのぶんOBの方がわざわざ来てくださるありがたさを感じました。また寺沢先生が大変な労力を使って茶会に向けて部員をまとめてくださったことが、部員たちの励みになったと思います。みんなでひとつのものを作り上げるということは私にとって大変良い思い出になりました。来年は是非お客として茶会に参加させていただきたいと思います。

鍼灸学部4回生:岡田 美紀



 今年は着物を着ることができ、また水屋の仕事だけでなくお運びなどの仕事もできて楽しい茶会だった。しかし例年に比べて客数が少なくその点は残念だった。今年で卒業するため次回からは客として参加すると思うが、他大学の茶会にはない明治鍼灸大ならではの茶会を楽しみたいと思う。

鍼灸学部4回生:村井 宏行





第36回日本慢性疼痛学会における「呈茶席」レポート(茶道部部長)


1.日 時:平成19年2月24・25日

2.場 所:京都テルサ、 2階茶道文化教室

3.担当者:1年生;馬場寛之、2年生;井出文枝、4年生;奥野和歌子、部外の手伝:4年生;新垣知嘉世、卒研2年生;洪 聡美、1年生;広瀬大樹、田井、4年生;土井真琴、本学中国語講師;中山肯英、引率指導:寺沢宗典
4.茶室風景

 茶室は京都テルサ東館2階の10畳が襖を隔てて2間続きになっている。炉が切ってあるほうは、一間の床と違い棚があり、広間の風格を呈している。他の10畳間には受付を置き、芳名録に記帳をしてもらった。東側の障子からは燦燦と陽が差し込んで明るい。水屋は、道具の収納棚と茶道本来の古典的な水まわりの設備が、四畳半ほどにこじんまりとまとまっている。さらに玄関は八畳ほどの四半敷でゆったりとした広さが心地よい。廊下をはさんで向かい側には給湯室とトイレがあるので、大勢集まっても困らない安心感がある。そして何より、メインホールから少し離れていたので茶室の静かな雰囲気を十分味わって頂くことができた。

寺澤茶道部長(左)と卒業生
(中井氏、林田氏;右)が
忙中閑のひとときを過ごす
5.一碗の茶を共に

 来客人数205人。2日とも晴天で、2月特有の寒さもなく学会日和であった。初日の茶席は時間が来ても、ゆるやかな2,3人のスタートだった。出来うる限り作法に則って真を尽くすように話し合っていたので、先ず初席目は1回生の点前で差し上げることにした。2日目になると1席に10人を越えることが多くなったので、点出しの略式止む無くに至った。来席の方々の顔ぶれは慢性疼痛学会らしく、広く各界の職種の方が居られた。茶会という垣根の無い一連の座に、短い時間でも一碗の茶を共にできるということは有難いことである。どの席も、和やかな雰囲気が漂っていた。
茶席に来て偶然に再会したとか、または再会を喜び合うために茶席へ来た人、知らない人同士なのに、ここで親しき花が咲いたという方もおられた。人から人をつなぎ合うのに、お茶が少しだけお役に立てたかも知れないと思うと嬉しくなった。それにも増して私の喜びは、行事がある度に、部員同士のかかわりが深くなっていくことである。手伝いを得て、時に6人だったり、9人であったり少人数であることから敏捷な気働きが冴えてきて、来客が混むほどに部員の動きにテキパキさが目だってきた。プラス思考に置き換える絶好の機会であった。

 

 <茶道部部員の感想文>

 今回の日本慢性疼痛学会での呈茶席が私にとっては、茶道部活動の最後の仕事となった。これまでに大きな学会での呈茶席は何度か経験させていただいたが、毎回、学生茶道では出会えないお客さまと接することができ、貴重な機会だと実感する。
会場には茶道部のOBの顔もあったし、たくさんの明治鍼灸大学の卒業生たちがいらした。また、今回は市民講座に参加した一般の方と医師や看護師などの医療従事者、業者の方々も忙しい合間をぬって茶席を訪れて下さった。茶について、詳しい方も初めてと言う方もいらしたが、皆さんが口々に「茶によって、すっきりできた」と言われた。
 私が今回の茶席で特に強く感じたのは、茶席のもたらす空間で、荷物をもたないお客さまと向き合ってお話しすることは、現代の生活ではめったにない場なのではないかということだ。おそらく、大半の学会参加者は普段は忙しくて、書類を確認しながらお茶を飲んだりすることが多いのではないか。
また、現代っ子の学生達は一緒に座っていても、互いに携帯電話を見て、それぞれの世界に居たりする。現代ではたった一杯の茶を、顔を合わせて飲むことすら贅沢な時間なのではないだろうか。茶席に来た方が「すっきりできた」というのは、空間がもたらした効果も大きいのではないかと思う。
 今回は茶道部の部員があまり参加できず、多くの友人の手を借りた。しかし少ない人数でも滞りなく茶席を勤めることができたのは、会場の茶室の造りによるところも大きい。入り口と水屋が近いので、入ってくるお客さまの人数をすぐに把握できた。ハードは大事な要素だと感じた。このような貴重な体験ができた呈茶席を設けて下さった開催者に感謝いたします。

鍼灸学部4回生:奥野 和歌子



前列左から;奥野、馬場、寺澤、井出
後列左から;山下、廣瀬、梶
     


 今回の茶会は、忙しい学会の間を縫ってきていただいた方と、多少時間にゆとりのある方とを同時にお迎えし臨機応変に対応することが大変だったが、よい経験になった。また、お客さんの中には初めての茶席という方が多く、作法について訊かれたが、思っていた以上にうまくお伝えすることができなかった。
この度の茶会で印象に残っているのは、茶室の広さと水屋の設備の良さだ。充実した施設のため、非常にすがすがしい思いで茶会を行うことができた。

鍼灸学部1回生:馬場 寛之



 今回の茶会は部員人数が少なく、最初はどうなることかと心配でした。しかし、中山肯英先生(本学中国語講師)をはじめお手伝いの学生に助けられ無事に終えることが出来ました。お客様から「学会でお茶が飲めるなんて初めて」と言われたり、「お茶を飲んだらなんだかホッとしました。ありがとう」と言われ、とても嬉しく感じました。多くのお客様に喜んでもらえて本当に良かったです。部員の参加人数が少ないなりにもみんなで協力しあい、良いお茶会が出来たと思います。

鍼灸学部2回生:井出 文枝



 学会は遠方からも多くの方が参加されていて、どの茶席も賑わっていました。おいしいお抹茶とお菓子で休憩ができることと、京都らしさが感じられると好評でした。立派な会場でお茶会の受付を手伝わせていただき、学会参加者の先生方とお話することもできて、楽しく有意義な時間が過ごせました。ありがとうございました。

鍼灸学部4回生:新垣 知嘉世

 

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