関節リウマチの基礎知識
関節リウマチは多発性関節炎を主徴とする原因不明の進行性炎症性疾患である。いろいろな関節が痛むのが特徴である。現在日本に約70万人といわれる患者の8割が女性である。発病は働き盛りの40~50歳台が多いといわれている。
(診断)診断基準(下記)の7項目中4項目以上満たすものを関節リウマチと診断する。

(アメリカリウマチ学会ACR:1987年)

① 朝のこわばり(1時間以上)

② 3つ以上の関節の腫脹

③手関節またはMCP(指節中手間関節)またはPIP(近位指節間関節)関節の腫脹

④ 対称性関節腫脹

⑤ 皮下結節(リウマトイド結節)

⑥ リウマチ因子陽性

⑦手指あるいは手関節のX線像変化(1から4は6週間以上認められること)

検査として血液検査とX線検査を行う。

関節の炎症は、初期、早期(滑膜の炎症)、進行期(滑膜の炎症が慢性化して増殖し、しだいに軟骨、骨が破壊される)、晩期(さらに進行すると関節が変形したり、次第に動かなくなったりする:強直)と、徐々に進行する。

(治療)原因はまだ解明されていないが、現在では有効な薬物治療によって関節破壊の進行を抑えることが可能になってきた。抗リウマチ剤、抗炎症剤、少量のステロイド剤が使用される。近年、生物学的製剤(サイトカイン阻害剤)が日本でも認可され、RAの炎症に重要な役割をするサイトカインなどを選択的に抑制し効果をあげている。

代表的な手術療法として、滑膜切除術(炎症を起こしている関節の滑膜を取り除く手術)、関節形成術、人工関節置換術(関節が変性した場合、人工の関節に取り替える手術)がある。膝や股関節の人工関節置換術の場合、痛みがとれて支持性ができ、立位、歩行可能になる利点がある。技術、材質ともに進歩してきたため、最近では比較的若い患者さんでも行うことが可能になった。関節のリハビリテーションも重要である。