施設紹介(MRセンター)-歴史と概要-

メディカルMRセンターの概要

当センターはMRSおよびMRIを用いた生体の代謝および画像を観察することで、統合医療における治療効果の解明やよりよい治療を調べるために研究および教育を行っいる。脳神経外科の田中忠蔵先生が初代MRセンター長を努め、脳神経外科樋口敏宏先生がその後をつぎ、現在基礎教養講座・データサイエンスユニットの梅田雅宏がセンター長の任についている。MRI装置を用いた多くの研究が行われ、磁気共鳴医学の分野で活躍している脳神経外科の大学院卒業生も多い。

I. 装置

(1) 臨床用1.5T (GE社) Signa LX:1996年に導入され今日に至る。導入された当時は国内唯一のEPI臨床装置だった。初期のEPI-DWI, EPI-fMRIの国内研究とその普及に寄与した。(EPIの稼働する臨床用MRI装置としては国内最古かもしれない)。

2012年5月にTrio Tim 3Tが導入された。これに伴いSinga LXは16年の歴史に幕を閉じた(最後はクエンチボタンでクエンチさせた)。クエンチすると磁場がなくなりヘリウムガス排出口から白い煙が2分ほど排出されます(その後も続く)。その後マグネットは搬出されました。Trio 3Tは4年間fMRI研究に利用されていた装置を明治が購入し移設した。32 channel head coilを備えており、マグネットルームは視覚刺激のfMRIに特化するため前後に投影用導波管を備えた。これにより、マグネット背面および前面からの映像投影が可能になり、映像投影と同時に眼球のチェックなどを可能にしている。その他光-電気変換によりRS-232CやUSB、LANなどの配線を可能とした。

(2) 小動物実験用MRI/MRS : Bruker Biospec 4.7T ; マグネットは1988年導入。当初1280という愛称で呼ばれたミニコンピュータで稼働していた。その後1993年にEPIを稼働させOmega(GE社)というシステムにアップグレードした。その後Burker社のBiospecにバージョンアップされた。

II. 実験MR棟

実験MR棟は付属病院隣接して独立棟として建てられている小動物のMRI研究を行うための設備を備えている。実験用MRIは実験MR棟に設置されている。実験MR棟にはMRI装置の他、細胞培養室、実験手術関連器具、工作などを行う準備室および、小動物飼養保管施設Ⅲを備えている。小動物飼養保管施設Ⅲは、齧歯類の飼養保管を目的に運営され、飼育室1とクリーンラックを備えた飼育室2、前室および衛生管理を行う部屋から構成され、自動照明管理、除塵および高機能(HEPA)フィルタを備えた空調管理が行われてている。

* 1988年当時すでにイエローケーブルと呼ばれる同軸ケーブルを敷設し、学内で最も古く病院とのネットワークを実現していた。速度は10Mbpsであったが、当初はソフトウエアの関係で画像を一枚一枚しか転送できず、現在のファイルサービスとは別のサービスだった。

III. 画像サーバ

画像データサーバとしてはApple社のMacProとMacminiで構築されたファイルサーバとDICOMサーバ(dcm4che)で運営されて、全てのデータを2つのサーバで管理している。

IV. 処理ソフトウエア

画像処理およびスペクトル処理としてはMRVision、IDL、Matlab、LCModelなどを備えている。MRVisionは画像の簡易処理をするのに適している。IDLはもともとSignaに付属していたスペクトル処理ソフトSAGEを稼働するためのベースプラットフォームであり、1996年にSignaと併せて導入した。MatlabはfMRI処理ソフトとして有名なSPMのプラットフォームである。IDLやMatlabは画像処理を目的とした言語で様々なソフト開発に利用されている。LCModelはMRSのベースライン推定機能を備えたスペクトル波形分離ソフトであり、basis setと呼ばれる代謝物質の純物質のMRSのスペクトルセットを持っていてその線形結合として各代謝物質の定量を行うことが可能である。