昨年度2月4日~15日に韓国ソウルの漢陽大学から5名の医学生が本学、附属鍼灸センター、附属統合医療センター(京都市西京区)を訪れ、研修を受けられました。
この研修には、鍼灸学部の有志学生達が密着し、英語でコニュニケーションをとりながら、「統合医療」や「日本と韓国の医療の違い」など様々なディスカッションを繰り広げ、貴重な国際交流となりました。
この度の国際交流は、京都新聞の「@キャンパス」の取材も兼ねて行われ、5月1日(火)夕刊に掲載されました。「@キャンパス」は、京都と滋賀の大学生が、自らテーマを決めて、大学や街の話題、社会の問題、地域での活動などを取材し、リポートするコーナーです。みなさん、ぜひご覧ください。

【「@キャンパス」取材、リポート】
岡田裕美子(1年) 秋山翔太(3年) 武田真輝(3年) 平川恵麗(3年) 北林知佳(4年) 隅周平(4年) 原敬昌(4年)
※学年は昨年度の取材時
【漢陽大学医学生】
キム・ミソ リュウ・ソジュン リー・ヒョクドン、パク・スナ パク・ジェソ

以下、掲載記事概要(一部抜粋)

韓国①
『日韓 新医療のススメ』
「統合医療」は、西洋医療と漢方や鍼灸などの伝統医療をバランスよく調和させた、患者さん主体の医療のこと。
「統合医療」を掲げる明治国際医療大で東洋と静養の医学を学びながら鍼灸師をめざす私たちは、韓国の漢陽大で西洋医学を学ぶ医学生たちと、お互いの国における医療の現状を紹介し合い、理想の医療について語りあった。そして、医療の最前線で奮闘する両大学の研究者に、これからの医療について語っていただいた。

「統合医療」って知ってる?
今回のプロジェクトの目的は、日本と韓国の医療について学ぶとともに、英語で交流する体験を通じて世界の人たちとのコニュニケーションを広げること。中学から英語を習っているが、実際に英語でコミュニケーションをとるのは初めて。「鍼灸で使う単語は英語でどのように言うのか」など、事前に準備はしたが、しばしば英語に詰まり、岩井学長らに助けていただきながらディスカッションを進めた。
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統合医療とは、西洋医学を中心に、精神面の健康や疾患予防などを鍼灸などで補う医療。現在、日本で統合医療を掲げて実践している医療機関は少ない。科学的根拠が乏しい民間療法へのマイナスイメージが強いことも一因だが、石崎直人教授は「鍼灸などの東洋医学に科学的根拠はあるが、認知されていない」と指摘する。
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韓国では伝統的な医療を施す医者を韓医という。研修に参加したパクさんは「医師と韓医がそれぞれの範囲で医療を施している。統合医療をするなら、一人の医師が双方の資格を持たなければならない。統合医療センターは、西洋医学を学んだ医師が鍼灸などを含めて患者にあった治療を選択している。統合医療を進める上で参考になる」と語る。
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韓国②  3
韓国④
「痛くない?どのくらい刺すの?」
西洋医学を学ぶ漢陽大学校医学部では、伝統医学を学ぶ機会はほとんどないという。研修生たちは365穴ある経穴(ツボ)全てに名前があることに驚いていた。鍼を実際に体験した研修生のリーさんは、最初「痛くない?」「鍼はどれくらい刺すの?」と緊張していたが、体験後は「大丈夫!」とにっこり。他のみんなも「私にもして欲しい」と興味を持ってくれた。
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滞在中は、アロマセラピーやヨガの講義と体験もした。韓国でも流行しているが、「講義を受け、医療面で役立つことが分かり理解が深まった」という。韓国の学生たちは最後に、「患者に伝統医療を勧めやすくなった」と研修を振り返った。
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日本と韓国、西洋医学と東洋医学、国も学ぶ言葉も違う学生の交流だったが、私たちも鍼灸を始めとする伝統医療はますます大切になると確信することができた。