山下 八重子 教授

研究について

──先生はどのような研究をされていますか?

 看護師の職業イメージ・仕事のモチべーション・小児虐待や母子関係に関する研究・新人看護師のリアリティショックなど職場の看護教育に関する研究等、小児看護学と看護管理学の視点での研究をしています。

──それらの研究はどのような意味を持っているのでしょうか

 看護師の職場定着に関係する労働環境や社会的地位・業務軽減の効果、小児看護の母子関係の歪みから派生する問題解決につながると考えています。

──その成果はどのように社会に還元される(役立つ)のでしょうか

 専門職業としての看護師の社会的地位向上や職業選択につながり、人員不足の軽減につながります。また、小児虐待の防止対策や子育て支援につながると考えています。

社会貢献について

──どのような社会貢献をされていますか

 地域の環境美化活動やコミュニティ催しへの積極的な住民参加や、小学校の野外活動への看護師などをしています。

──どのような学会(研究会・グループ等)に所属されていますか

 社団法人日本看護協会、日本看護学教育学会、日本医療マネジメント学会、日本教育工学学会、日本手術看護学会 など。

──どのような活動をしていますか

 学会参加や学会研究活動協力等、サードレベル連絡会議などの活動をしています。

看護を志したきっかけについて

──先生が保健師・助産師・看護師を志したきっかけを教えてください

 クリエイティブな職業に憧れていました。昭和30年代の生まれなので、当時は女性には職業が少なかったため、看護師なら自立して生きて行けると考えていました。当時は看護師への憧れはありませんでした。都会に出たいという思いが強く、そのための手段の一つであった記憶があります。

──なぜ本学を選んだのですか

 時期と縁ですね。これまでにも大学教員の話は何度もありましたが断っていました。50歳半ばを過ぎ、そろそろ引退を考えていた時に本学の話が持ち込まれました。自然豊かな環境に心惹かれました。

臨床について

──どのような臨床現場で働いた経験がありますか

 臨床経験は35年間となります。実務経験として、小児外科病棟・小児病棟(内科外科含む)、内科病棟。そして看護管理では、循環器病棟、脳循環病棟、腫瘍整形外科病棟、中央手術室、医療安全管理者等の経験があります。

──印象に残っている事例があれば教えてください

 特に心に鮮烈に残る思い出は、小学校に上がる寸前に亡くなったAちゃんのことです。両親が購入した赤いランドセルを片時も離しませんでした。長い闘病生活の中、痛み止めを持続注入しながら希望をもって明るく、赤いランドセルを背負ってみせ、4月にランドセルを背負い登校することを夢見ていましたが、桜の花を見ることなく永眠されました。今でも、小児がんで予後不良の子どもたちのことは何人も思い出すことができます。

ズバリ看護の魅力って何でしょうか

 看護はチームで仕事を引き継ぎながら技術とケアを提供する医療行為ですが、本当の看護の仕事の魅力は、ひとり一人の患者との関係であると考えます。看護は看護師の価値観や倫理観や人間としてのやさしさや個性が患者個々のそれと触れ合うことで関係を築き、信任を得るところにあると考えます。つまり真剣に患者と向き合うことで自分が成長することを感じ、自分の力が役に立ったと実感できることではないでしょうか。

注)このインタビューは平成27年度に行いました。