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明治国際医療大学は、国際的に活躍できるスポーツトレーナーの養成に取り組んでおり、去る9月9日、スポーツ医療に関して技能向上や人材育成を進めるため、ポルトガルの総合スポーツクラブ「SLベンフィカ」と交流協定を結びました。その後行われた学生たちの「国際スポーツトレーナー養成プログラム」では、ポルトガルの首都リスボンにある総合スポーツクラブ「SLベンフィカ」で一週間の研修を行い、クラブ所属のトップ選手らが受診する付属クリニックや診療所での体験を通して、スポーツ医療の最前線を肌で感じ、医療の提供や選手の健康管理について学びました。
また、この度の国際交流プログラムは、京都新聞の「@キャンパス」の取材も兼ねて行われ、11月13日(水)の夕刊に掲載されました。「@キャンパス」は、京都と滋賀の大学生が、自らテーマを決めて、大学や街の話題、社会の問題、地域での活動などを取材し、リポートするコーナーです。記事の概要を掲載しましたので、ぜひご覧ください。
鍼灸学部 山下光一郎(4年) 道端悠馬(3年)
保健医療学部 相坂脩太(4年) 安芸洸平(4年) 笠井一志(4年) 谷遼典(4年) 山浦賢太郎(2年)
以下、掲載記事概要(一部抜粋)
ポルトガル見聞録 『海外スポーツ医療事情』
日本人とは異なる痛みの受け止め方 コミュニケーションの大切さを実感
「イ・タ・ミ、ノー、ゼロ」。一連の治療を終えた選手は笑顔を見せた、SLベンフィカスタジアムの近くにあり、選手のケアに当たる土屋光春医師の付属診療所での研修で、選手に鍼や柔道整復による療法を施した。土屋医師は、手術時に鍼で麻酔を行う「鍼麻酔」や痛みを緩和させる鍼治療を得意にする。
私たちが土屋医師と一緒に治療に当たった患者に、陸上の高跳びでポルトガル代表の男性選手がいた。長身で日本人より足が長い。膝を曲げよ伸ばしすると太ももの裏が痛いと訴えた。肉離れのようだ。選手に確認しながら指で痛い部分を探すが、言葉の違いからコミュニケーションが取りにくい。
太ももの裏に硬いしこりがあるのを見つけ、鍼を刺してから10分ほどしてから抜く。日本で鍼を刺したり抜いたりする時は、必ず患者に声を掛けるのだが、ポルトガル語が分からず、選手の顔の前で鍼の抜き刺しをジェスチャーで示す。一通りの治療を終えたが、選手はまだ痛みが少し残っていると言い、土屋医師が考案した治療法を行った。
日本でも行われている鍼通電法に145ヘルツと少しだけ高い低周波で一瞬だけ電気を流す。現地ではキツツキの名前に由来する「ピッカパウ」と呼ばれる。土屋医師はこの治療で多くの選手の痛みを取り除いているということだ。
日本だと、鍼治療に痛さはなく、痛さがあることは嫌がられる。しかしピッカパウは鍼に電気を流すと一瞬、キツツキにつつかれたように痛さを感じる。場所を変えながら何ヶ所かで施したが、選手は何も言わなかった。痛みを取るためにはがまんするのか、痛さに対する受け止め方が日本人とは違っていた。
柔道整復療法による関節への施術やストレッチなどを終えると、選手は肉離れの痛みがなくなったのを喜んだ。選手が言ってくれたポルトガル語の「オブリガード(ありがとう)」がとてもうれしく、最高の日になった。
この診療所での経験で、コミュニケーションを取る大切さをあらためて知った。日本では気にしなかったが、今ではその言葉の重みがよく分かる。将来は海外の選手も施術できるようになりたいと思った。
その他、SLベンフィカの医療部門を統括するジョアン・デ・アルメイダ医師(スポーツドクターで16世紀に日本を訪れた最初の南蛮外科医ルイス・デ・アルメイダの子孫)によるクラブでの医療体制や取り組みの説明やSLベンフィカのアカデミア(サッカー選手養成施設)の恵まれた環境等を紹介しました。下の写真は、左からSLベンフィカスタジアム、スタジアムと附属クリニック、ベンフィカ本部とアカデミア
サッカーの強豪、国内屈指の人気を誇るSLベンフィカってどんなチーム
SLベンフィカ(Sport Lisboa e bennfica)は、特にサッカーが有名で国内リーグで数多くの優勝経験を持ち、欧州チャンピョンリーグでも好成績を残している。ポルトガルで最もサポーターが多く、国内の人口の半分が応援しているといわれる。
以下、研修中のスナップショット

治療を受けた選手と握手

アルメイダ氏から研修証を授与

試合観戦に向かう

テレビカメラがいると思ったら

診療所のスタッフや選手たちと

研修後の記念撮影

研修の息抜きにサッカーの試合観戦

テレビニュースで本学研修が放映されました。