Human Brain Mapping本学の脳神経外科学教室田中忠蔵教授医療情報学教室梅田雅宏教授らの研究グループが、京都大学人間・環境学研究科認知行動科学講座の山本洋紀博士(first author)らと共同研究した論文、“Inconsistency and Uncertainty of the Human Visual Area Loci following Surface-based Registration.Probability and Entropy Maps.が、学術誌Human Brain Mapping” に、掲載され、2012年1月号の表紙を飾りました。

本研究は、本学が設置するMRI装置(磁場と電波を用いて体内などの画像を撮影する装置)にて、脳の機能を画像化する機能的磁気共鳴画像法(functional MRI) を用いて実施されました。

脳の各部位は、それぞれ異なる機能をもち、視覚を担う後頭葉は10数個の視覚皮質として分類されます。本研究では、16人の被験者から得られたデータを元に、各視覚皮質の空間的存在確率を表す全く新しい脳機能解析法を考案しました。

この解析法では、2つの画像が算出されます。ひとつは大脳皮質上の解剖学的位置に対する各視覚野の存在確率を示したもの、もうひとつは前述の各視覚野の存在の乱雑さ(エントロピー)を示すものです。

両画像を用いることにより、脳の解剖学的位置から、その領域がどの視覚野に相当するか推定することが可能となりました。

従来の機能画像法では、視覚皮質の分類にはfMRI(核磁気共鳴装置を用いて脳の機能を調べる手法のこと)の測定が必須でしたが、今回提案する方法では通常計測されるMRIで得られる脳の構造画像より機能分類が可能となりました。

本研究の成果は、脳の一部を損傷した患者が、どのような機能障害が生じるかを予想することなど、臨床応用にも期待されています。