田口 玲奈(たぐち れいな) 助教
鍼灸学部 臨床鍼灸学講座 プロフィール 教員紹介

研究について

──先生はどのような研究をされていますか?

 婦人科領域(生理痛、月経前症候群、不妊症、更年期障害など)や産科領域(つわり、逆子(さかご)など)、小児科領域(小児喘息、風邪を引きやすい、かんむし、夜尿症、便秘、下痢など)に対する鍼灸治療に関する研究を行っています。
 また、現在、公益財団法人日本健康アカデミーから助成金を頂いて、東洋医学を活用した女性の就労・子育て支援に関する研究を進めています。

──それらの研究はどのような意味を持っているのでしょうか

 現在、わが国の女性の平均寿命は過去最高の86.6歳となり、2年連続世界一となりました。そのような一生において、女性はエストロゲンを中心とした女性ホルモンに翻弄されているといっても過言ではありません。月経は子どもを産み育てるためには不可欠な現象でありますが、時にして様々な女性特有の症状をもたらします。これはわが国の女性のみならず、世界中の女性に言えることです。近年、様々な場面での女性の潜在能力の活用の重要性が注目されています。従って、私が行っているこれらの研究は、多くの女性の健康や育児、就労などをサポートすることとなります。

──その成果はどのように社会に還元される(役立つ)のでしょうか

 これらの成果は、社会に情報発信することで、女性の活躍を推進することとなり、それにより社会全体が活性化され、わが国を支えていく大きな力になると考えています。現在、研究成果を社会に還元、情報発信する目的で保育園などで子育て支援講座を開催しています。毎回、多くの方に参加いただき、日常生活の場で活用いただいています。

学会活動について

──どのような学会(研究会・グループ等)に所属されていますか

 全日本鍼灸学会や日本産科婦人科学会、日本思春期学会、日本女性心身医学会、自律神経学会などの医学学会にも所属しており、毎年、様々な学会で積極的に発表しています。また、子どもの健やかな健康と心の発達を促すための東洋医学の療法の普及を目的とした“京都スキンタッチ会”の代表もしています。

臨床について

──鍼灸臨床ではどのような方法をよく使いますか

 患者さんの症状に応じて、鍼をはじめ、お灸や鍼通電療法(鍼に微弱な電気を流します)、低反応レベルレーザー、遠赤外線など様々な方法を使います。
 また、東洋医学では心身一如(心と体は一体)という考え方がありますが、私はその考え方を重要視しています。例えば、膝の痛みを訴えている場合でも他の東洋医学的な所見に問題がある場合は、全身の調子を調えるような治療を行います。
 そして、諸外国では様々な鍼灸に関する新しい知見が報告されていますので、定期的にそれらをチェックして、効果が高いとされた方法で治療にあたることもあります。

──どのような症状や病気を診ることが多いですか

 一般的な筋骨格系の症状をはじめ、女性特有の症状(月経痛や月経前症候群、月経不順、不妊症、逆子、妊娠中のマイナートラブルなど)や子ども小児喘息、風邪を引きやすい、かんむし、夜尿症、便秘、下痢など)の診察することが多いです。

──鍼灸臨床のご専門があれば教えて下さい

 研究テーマと重なりますが、婦人科領域(生理痛、月経前症候群、不妊症、更年期障害など)や産科領域(つわり、逆子(さかご)など)、小児の症状(小児喘息、風邪を引きやすい、かんむし、夜尿症、便秘、下痢など)に対するものを専門としています。

──印象に残っている症例があれば教えてください

 長年、継続して治療にきてくれる患者さんは特に印象に残っています。また、何かあれば病院に行くよりも、まず私のところに来てくれる患者さんも印象的です。時折、「先生の顔をみるだけで元気になる」「治療にくるのが楽しみ」と言ってくれた患者さんには、こちらも元気をもらいました。また、子どもへの施術の際に、その兄弟さんも子ども自身が自ら「僕にもやってほしい」と言ってくれたことも印象に残っています。

鍼灸を志したきっかけについて

──先生が鍼灸師を志したきっかけを教えてください

 元々は他の医療系の学部に進学したかったのですが、力が及ばず、またその時に体調を崩したこともあり、父の勧めで受験しました。しかし、大学1、2回生の頃は、やはり他学部への進路変更が頭によぎり、受験し直そうと考えていることもありました。
 それが、3回生の頃、患者さんの治療を教員と一緒に行う臨床実習で、西洋医学ではどうしようもない症状が鍼灸治療で改善し、とても喜んでおられる患者さんに出会い、考えが大きく変わりました。鍼灸治療には、他の医療とは異なる役割があると感じました。

──なぜ本学を選んだのですか

 当時、日本で唯一の鍼灸の大学で、伝統のある大学と感じたからです。

注)このインタビューは平成26年度に行いました。

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