
鶴 浩幸(つる ひろゆき) 講師
鍼灸学部 保健・老年鍼灸学講座 プロフィール 教員紹介 夢ナビ
研究について
──先生はどのような研究をされていますか?
感覚器領域、特に耳鼻科領域(耳鳴・めまい・顔面神経麻痺)や視覚領域(視力向上・眼精疲労)に対する鍼灸治療に関する研究と臨床(統合医療を含む)を行っており、日本学術振興会から研究費をいただいて耳鳴の研究を進めています。また、昨年からは高齢者をキーワードとした研究も進めています。
──それらの研究はどのような意味を持っているのでしょうか
例えば耳鳴ですと、実は多くの人々が耳鳴を訴えており、また、加齢に伴って耳鳴を訴える率は増加します。特に高齢者では原因不明とされるものも多く、医学的な治療が困難であることが少なくありません。
このような状況において、耳鳴に対する鍼灸治療の有効性を検討(立証)することは、耳鳴を訴える患者様の役にたつだけでなく、鍼灸治療を行う際の効果的な刺激部位の解明(または選定)につながります。これは、自分の指頭でツボなどを圧迫したり、電気治療器などを用いて皮膚(ツボ)を刺激するなど、セルフケアの開発にもつながります。
──その成果はどのように社会に還元される(役立つ)のでしょうか
多くの人々に鍼灸治療の有効性を知っていただくよう、我々も努力を重ねていくことが必要です。その一環として、附属統合医療センターでの「めまい・耳鳴専門外来」や附属鍼灸センター(予約診)での鍼灸治療で研究成果が応用されています。また、大学の授業や学会発表、論文、地域における講演などで還元されてもいます。
社会貢献について
──どのような学会(研究会・グループ等)に所属されていますか
全日本鍼灸学会、日本統合医療学会、日本東方医学会、日本抗加齢学会、日本健康科学学会、日本顔面神経研究会、日本慢性疼痛学会、日本伝統鍼灸学会、American Academy of Medical Acupuncture(AAMA)、Society for Acupuncture Research(SAR)などです。
──(役職がある場合)なんという役で、どのようなお仕事をされていますか
全日本鍼灸学会では国際部の委員をしています。欧米を含む世界中で鍼灸は注目されており、発展しています。各国で行われる世界鍼灸学会連合会(WFAS)や他の国際学会に参加し、国際的な鍼灸治療(または鍼灸研究)についてレポートなどをしています。
臨床について
──鍼灸臨床ではどのような方法をよく使いますか
個々の疾患・症状に対しては、科学的概念に基づく鍼灸治療、圧痛点治療などを用います。同時に体調を調えることも必要ですので、その際には中医学的弁証法を用います。
──どのような症状や病気を診ることが多いですか
耳鳴や眩暈です。病気ではメニエール病や突発性難聴、良性発作性頭位眩暈症、その他の原因不明の耳鳴や眩暈などが多いです。痛みやしびれなどの症状も鍼灸臨床では多く診ます。
──鍼灸臨床のご専門があれば教えて下さい
耳鳴や眩暈、眼精疲労、顔面神経麻痺などです。
──印象に残っている症例があれば教えてください
医師により治療が困難だと宣言された、難治性のメニエール病に伴う症状が軽減した症例が印象に残っています。それと、20年以上の耳鳴が軽減した症例、ラムゼイ・ハント症候群(顔面神経麻痺)での改善例も強く印象に残っています。
鍼灸を志したきっかけについて
──先生が鍼灸師を志したきっかけを教えてください
自分自身の体験として鍼灸治療が効果的であることを知っていました。また、知り合いの方から、将来的に高齢者が多くなるため、東洋医学(鍼灸)の領域に進むこともよいのではないか、と勧められました。
──なぜ本学を選んだのですか
日本で最初の4年制大学であり、最初に大学院(修士・博士)を有していたからです。長い伝統はもちろんですが、大学院での研究も含め、大きな実績を持っていましたから、迷うことなく本学への進学を決めました。
注)このインタビューは平成26年度に行いました。